黒澤明監督の名作「天国と地獄」1963年劇場公開映画「あらすじ」など

マンゴーの樹の下で

スポンサーリンク




皆様、こんにちは。リストクラッチ式ショーイチでございます。
前回、前々回と昔の日本映画について語ってきましたが、今回も古い日本映画についてご紹介して参ります。
今回、ご紹介するのは1963年(昭和38)に公開された黒澤明監督作、三船敏郎主演の東宝のモノクロ映画
天国と地獄についてご紹介します。
まず、この映画は大手靴メーカーのナショナルシューズの常務である三船敏郎さん演じる権藤金吾邸にナショナルシューズの社長以外の重役が勢揃いし、頑固者の社長から会社の実権を奪おうとするところから始まります。
ですが、権藤は重役たちと意見が決裂し、重役たちは憮然たる態度で権藤邸をあとにします。
実は、権藤自身も密かに会社の株を掻き集め、ナショナルシューズを我が物にしようと画策しており、それにありったけの金を注ぎ込んでいたのでした。
そんな中、権藤邸に思いもよらぬ知らせが舞い込みます。
それは権藤の息子であるフォーリーブスのメンバーである江木俊夫さん演じる純を誘拐した、無事に取り戻したければ身代金3000万円(消費者物価指数を元に現代価値に換算すると約1億2500万円)という大金を用意しろ。と山崎努さん演じる誘拐犯の研修医、竹内から連絡が入りますが、誘拐されたのは純ではなく、一緒に遊んでいた権藤の運転手である佐田豊さん演じる青木の息子の真一だったのです。
人違いに気付いた権藤はすぐに警察に通報し、それからすぐ、デパートの従業員に変装した仲代達矢さん演じる、神奈川県警の戸倉警部ら捜査官の面々が権藤邸にやってきます。
しばらくして犯人から「子どもを間違えたが、身代金3000万円は払ってもらおう。」と改めて身代金要求の電話が来ました。
しかも脅迫罪の本人またはその親族に害を加えると言わなきゃ罪は成立しない。という法の盲点を突いた、巧妙な手法を使ってきたのです。
しかも犯人は権藤が子どもを見殺しにする勇気がない。ということを見透かした上で、要求してきました。
つくづく頭が回る人間だと思います。
権藤は大変な苦慮の上で、3000万を払う決断をしました。
権藤にとっては、子どもの命の代わりに自分の財産を全て失うわけです。
犯人が逮捕されて塀の向こうに幾年か入れられようが、その先に待つのは、死んだも同然の生き地獄のみ。
そんな葛藤の中、権藤や戸倉警部らと犯人との身代金のやり取りが繰り広げられ、真一は無事に帰ってきました。
ここから権藤と戸倉警部による犯人への復讐が幕を開けます。
ここから先、どうなっていくのかは皆様ご自身で楽しんで下さいませ。
さて、この作品はアメリカの小説家、エド・マクベインが発表した推理小説、87分署シリーズの一作、キングの身代金が原作となっており、これをたまたま読んだ黒澤監督が気に入り、映画化したというエピソードがあります。
また、黒澤監督は当時の誘拐罪に対する罰則の軽さに憤りを感じており、それに対する問題提起も含めてこの映画の製作に至ったという経緯がありました。
ですが、この映画の公開後も吉展ちゃん誘拐殺人事件など痛ましい誘拐事件が現在まであとを絶たず、起こり続けているのです。
個人的には、黒澤監督や三船敏郎さんや仲代達矢さんらもただ客受けしそうだからという理由でこの作品を製作したのではなく、誘拐事件の多さとそれに対する法の盲点や刑事事件被害者の家族に対する世間の様々な目に対する
一種のアンチテーゼがあったのではないか。と愚考します。
今回もご覧下さり、ありがとうございます。
また、日本映画の不朽の名作を紹介して参ります。
それでは、また次回お会いいたしましょう。

(寄稿)リストクラッチ式ショーイチ

東映映画「THE LEGEND&BUTTERFLY」(レジェンド・アンド・バタフライ)出演者・キャスト情報~2023年1月公開予定・東映70周年記念作品

共通カウンター

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


スポンサーリンク
ページ上部へ戻る